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なぜ交通事故は起こるのか?[後編] -統計から対策を学ぶ-
皆さん、こんにちは。
前回は、なぜ交通事故は起こるのか?[前編]をお話ししました。
交通事故を起こす原因として、運転者の安全に対する意識低下が交通事故の発生に大きく関与し、それが交通事故原因の大半を占めることをお伝えしました。
今回はその原因を要素別の角度から分析し、交通事故を防ぐために私たちはどんなことができるのか、考えていきたいと思います。
【交通事故につながる人以外の要素】
交通事故が起こる一番の要素は「人」の意識に由来することがほとんどで、交通事故原因の約90%を占めます。
それでは交通事故が起こる要素として「人」の要素以外には、どんな要素があるのでしょうか?
その要素は「車」と「道路環境」といわれています。
それぞれ見ていきましょう。
<車の要素>
車の要素に関するものとして、以下のことが挙げられます。
・車両の整備不良
・内輪差
・死角
・停止距離
近年では車自体の性能が向上するなど「交通事故を起こさない車」の開発が進んでいます。
しかし、整備不良については、人的な要素も加わるため、あくまで車は「道具」としてとらえ、それを扱うのが「人」であることを忘れてはいけません。
<道路環境>
道路環境による交通事故としては、天候や道路の形状や交差点、カーブの状況など、下記のようなものが挙げられます。
・雨や霧による視界不良
・路面の凍結
・信号機の故障
・カーブミラーなど設備の不良
・標識の整備不良
環境は地域によって差がありますが、整備は国や地方自治体によって行われています。ただし、地域によって設備の老朽化も指摘されており、今後の課題となっているようです。
【交通事故を防ぐための対策】
今までの情報を踏まえ、私たちは交通事故を防ぐために何をしたらよいのかを整理してみましょう。
<社会全体の取り組み>
前述のとおり、交通事故の原因のほとんどは「人」を理由とした事故となります。
安全運転に対する意識が変わらない限り、交通事故の件数は減らないということです。
その意識を変えるためには、個人の意識もありますが、やはり国や自治体といった社会全体への取り組みによる対策が必要となります。
とはいうものの、この10年で交通事故件数は半減しているのも事実ですから、内閣府が推し進めきた対策を継続していくことが、さらなる減少につながる期待はあると思います。
前編でお話しした通り、具体的には、
・道路交通環境の整備
・交通安全思想の普及徹底
・安全運転の確保、車両の安全性の確保
・道路交通秩序の維持
・救助・救急体制等の整備等
・交通安全基本計画に基づく諸対策の総合的推進
これらについて、私たちも学び、そして日ごろから意識していくことが大切です。
<運転者に対する技術的サポート>
自動車の運転者は運転免許を得ているわけですから、安全な運転をするためには何に注意すべきかを理解しているはずです。しかし、人が運転する以上、100%を維持し続けることは簡単ではありません。
そのため、運転者をサポートし、安全を支援するシステム・技術が必須です。
最近では、センターラインや側線を越えた際にドライバーにアラームで通知するシステムや、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまった際にアクセルがアイドリング状態になる「踏み間違え防止装置」という機能を搭載した車も増えてきています。
しかしながら、車という道具を扱うのもまた「人」ですから、サポートをありきに「漫然運転」にならないよう、意識していくことは大切です。
<定期的な車両整備およびメンテナンス>
「車」そのものの整備やメンテナンスも重要です。そもそも整備不良の車を公道で運転することは、重大な交通事故につながるため日本では許されていません。
車は新車登録から初回の検査が3年間、それ以降は2年ごとに車検を受ける義務があります。
車検が切れた車で公道を走行し、法令違反で有罪になると6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金及び違反点数が加点され、刑事処分の対象となります。
また車検を受ける期間については、車検証の有効期間満了日の「1ヶ月前」となっていますが、令和7年4月からは「2ヶ月前」と期間が長くなるため、車検を受けやすくなりますね。
◇豆知識◇
ちなみに、令和6年10月から、「OBD車検」が開始されます。
えっ?、なんだそれ?ってなりますよね(笑)
これは「On Board Diagnostics(車載式故障診断装置)と呼ばれる装置に対する車検です。急速に進化している自動運転技術は、高度で複雑なセンシング装置と電子制御装置で構成されているため、この自動運転技術が故障した場合、誤作動につながり、重大な交通事故に繋がる恐れがあるものの、今まではこの装置に対する車検制度がありませんでした。
このように、車検も車の性能の進化に伴い、制度としても進化しているのです。
<天候に応じた安全運転への備え>
近年では1時間の降雨量が1㎡あたり50mmの大雨が降るなど、一気に視界不良になるような荒天に遭遇することも珍しくなくなりました。
やはりそんな時は無理に車を運転しない方がよいでしょうし、運転中に雨や霧などで視界が悪くなった際には、運転速度を緩めるなどの対応が必要です。
また視界が悪い時にはヘッドライトを点灯し、乱反射しないようにロービームにするなどの配慮も忘れてはいけません。
このような「相手」に配慮した運転の積み重ねが、交通事故防止には欠かせません。
冬季には道路の凍結につながる情報を早めにキャッチし、早めにスタッドレスタイヤに交換しておくことも大切です。
このような装備の準備は、自分を守るだけではなく、思わぬスリップから他の自動車を巻き込んだ交通事故を防ぐことにもつながります。
◇豆知識◇
令和6年9月、国土交通省は、すべての自動車に2027年9月から順次、自動前照灯照射方向調整装置(オートレベリング装置)を義務付けると発表しました。
えっ?また横文字?日本語も難しくてわからないよー?!と聞こえてきそうですね(笑)
車の車体は、人や荷物が積載されると傾きます。後ろに乗れば後ろに傾きますし、前に乗れば前に傾きます。複数人の搭乗や荷物の積載は後部に集中することが多く、その場合、後ろに傾くと同時に前方は上に傾きます。この時、ヘッドライトも上を向くため、対向車の運転手は眩しく、前方視界不良となる現象が起こりやすいとされています。
実はこのヘッドライトの眩しさで周囲の車両などの発見が遅れ、事故につながった事例が10年間で300件以上、発生しているのです。これを防ぐため、車体の傾きに応じて、自動的にヘッドライトの傾きを調整する機能が近年搭載されるようになりました。これがオートレベリング機能であり、つまり、この装置が全車両に義務化されるということです。
独り言ですが、車両の傾きだけでなく、雨の降り方などでオートレベリング装置が機能するようになると、乱反射などで対向車の運転手が見にくくなることも少なくなるのではと、期待してしまいました(笑)
【まとめ】
前編、後編を通して交通事故の原因について、その統計から私たちにどんなことができるのかを考えてきました。
結局のところ、交通事故のほとんどの理由は「人」の交通安全に対する意識の低下ですから、これをどのようにサポートしていくかが課題です。
社会的な取り組み、環境や車そのものによる運転者へのサポートにより、その交通事故リスクを低く抑えることが大切なことはわかりました。しかしながら、道具を扱うのも「人」、サポートに甘んじて漫然とした運転にならないように意識するのも「人」であり、やはり一人一人の安全運転に対する意識は欠かせません。
車を運転する以上、私たちは「被害者」にも「加害者」にもなりえます。
運転者一人一人の意識の積み重ねが、社会全体の交通安全につながることは言うまでもありません。つまるところ、お互いを思いやる配慮が交通事故そのものを減らす一番のヒントなのではないでしょうか。
あやせ駅前整形外科・内科では、交通事故防止のための啓発活動にも力を入れています。
交通事故や交通事故治療に関するお悩みなどありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
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