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交通事故 むち打ち

低速度の衝突でもむち打ち症は起こる!? -クリープ現象とむち打ち症の関係-

 

最近あやせ駅前整形外科・内科では、むち打ち症とみられる症状のご相談が増えています。その中でも、お伺いすることが大変多いのが、交差点や信号待ちでの後方からの追突による症状の相談です。

後方からの追突事故では、その約90%が衝突速度が20km/h以下の低速で起こるとされています。これは、後方からの追突事故のほとんどが、交差点での安全確認ミスや渋滞時のノロノロ運転など、低速度での追突状況になりやすいことに起因します。

常に後方に気を配っていれば、その瞬間に構えたり、回避的な行動をとることもできるかもしれませんが、ほとんどの場合、無抵抗のままその衝撃を受けてしまうため、むち打ち症の原因となってしまうことがあります。

そこで今回取り上げたいのが「クリープ現象」と呼ばれるものです。

みなさん、このクリープ現象をご存じでしょうか?

自動車運転をされている方ならご存じだと思いますが、このクリープ現象とむち打ち症との因果関係について、様々な検証がなされています。

今回はこのクリープ現象とむち打ち症との因果関係について解説をしていきたいと思います。

 

【クリープ現象とは?】

自動車はアクセルペダルを踏まなければ走行しないと思う方もおられるかもしれません。しかしオートマチック車であれば、シフトレバーをニュートラル、またはパーキングに入れずにブレーキペダルを離せば走行することが可能で、自動車を運転される方であれば必ずご存じのことと思います。

ブレーキペダルから足を離してしまい、自動車がゆっくりと進んでしまうこの現象をクリープ現象と呼んでいます。

そのためクリープ現象はオートマチック車限定で起こり、マニュアル車では起こりません。

 

【クリープ現象で起こる事故の特徴】

クリープ現象が原因で起こる事故は、シフトレバーがN(ニュートラル)やP(パーキング)に入っていない状況で、ブレーキペダルから足を離したときに発生します。

渋滞でのノロノロ運転、交差点での信号停止などで事故のケースが多いように見受けられます。そのためその衝突速度はゆっくりであることが多く、車体の破損が軽微であることが特徴と言えます。

ところが、この軽微な車体の破損状況などから、加害者側から「ケガをするはずがない」「大げさだ」などと言われ、トラブルになるケースもあります。

また保険会社からもケガと交通事故の因果関係の事実について疑義を持たれてしまうことから、治療費や慰謝料の支払いを拒まれるケースもあります。

実はこの低速度衝突については様々な工学的検知が存在し、保険会社からもこの観点から「事故と症状の因果関係を立証できない」と訴えてくる場合もあるようです。(これを「受傷否認」と呼んでいます)

そのため、症状が残っているのにもかかわらず、治療を打ち切られやすいというのも特徴の一つとも言えます。

 

【工学的観点から見る低速度衝突】

前述のような、ある一定の重力加速度や一定の衝突速度では受傷しないとする論理は「無傷限界値(閾値)論」と呼ばれています。

ではこのような事故の場合では、本当にむち打ち症は起こらないのでしょうか?

結論から言うと、当院でもこのような状況で交通事故に遭われた方でも、むち打ち症の症状を訴える患者さんはおられますし、交通事故との因果関係を認めるケースも多く存在します。

では工学的観点では、症状と事故との因果関係を立証できているのでしょうか?

「事故解析共同研究会」の実験によると、被験者に対する衝突実験のうち、車体の平均加速度が1.1~2.1G程度であっても、20%程度の確率でむちうち症が発症することが解っています。このことから無傷限界値(閾値)論は絶対的ではないというのが最近の流れです。

それでも車体が中等度以上破損するような事故に比べると、むち打ち症を発症する余地は低いこともまた事実です。

事故から整形外科受診までの期間が空けばあくほど、その因果関係の立証は難しくなるため、診察においても検査などを通して、医学的に因果関係を証明することが大切です。

 

【クリープ現象による事故を受傷否認されないためには?】

<症状が出たらすぐに整形外科を受診する>

むち打ち症の症状は、受傷してから1週刊前後で出てくる症状もあります。事故から期間が空けばあくほど交通事故と症状との因果関係を立証できなくなる可能性が高くなります。首の痛みや手のしびれ、その他にもむち打ち症の症状を感じ始めたらすぐに整形外科を受診し、医学的な観点からその症状と交通事故との因果関係の精査が必要です。

そのうえで医師から診断書を発行してもらうことが、その後の補償を受けるうえで大変重要となってきます。(診断書を作成できるのは医師だけです)

 

<症状を残したまま独断で示談にしない>

軽微な事故の場合、前述のとおり保険会社から早期に突然打ち切るようなことを言われるケースも散見されます。「まだ痛むけど、あんなふうに言われるなら治療をあきらめようかな…」などと途中で治療をあきらめてしまうケースもみられます。

症状が残っているうちは医師と相談したうえで、適切な治療と通院が必要です。

治療の必要性は医師が判断しますので、自己判断せずにしっかりと相談することが大切です。

 

<治療を優先したスケジューリング>

症状が軽いからと言って治療をおろそかにしていると、症状が改善しないばかりか、治療の必要性について、保険会社から疑義を持たれることにもつながります。

過度な通院は不要ですが、打ち切りを打診される前にしっかりと通院し、短期間で症状を改善させることが重要です。

 

【まとめ】

低速度での追突事故はクリープ現象によるものも散見されます。オートマチック車を運転される方は是非ご注意ください。

当然それ以外でも低速度での衝突事故は十分に起こり得ます。

受傷否認されないためにも、交通事故に遭って少しでも症状を感じたら、ぜひあやせ駅前整形外科・内科へご来院ください。

不安に事故の大きさは関係ありません!
交通事故に関するお悩みやご相談などは、ご遠慮なく当院までご連絡ください。

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